ミラーレスカメラでのレース撮影

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先週末に行われたSUPERGT第4戦、富士スピードウェイ300kmレースへ行ってきました。今回はレース撮影でミラーレス(E-M1)が使えるレベルかどうかの評価をしてきました。夏のこの時期は非常に暑く、サーキット内を移動していろいろな場所で撮影をすることがしんどくなってきたということと、バイクでの移動を想定してなるべく荷物を軽量コンパクトにしたいという背景から、ミラーレスでなんとかならないかを検証するに至りました。

 

 

使用機材

OLYMPUS E-M1 + 75mm F1.8(35mm換算150mm)

Nikon D800 + Tamron 70-300mm(A005)

ファームウェアを共に最新に更新し、AF-Cで追従させています。ともに連写はONになっており、E-M1は連写Lでの撮影です。

 

 

富士スピードウェイのコースレイアウト

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出展[http://www.fsw.tv/2ch/2_5ticket/info_tec/img/map_tec_2013.gif]

 

サイズ感としては、パナソニックコーナー〜1コーナーが約1.5kmです。高低差のあるサーキットですので、移動用の道路もアップダウンが激しいです。

 

 

総評

▼E-M1で気になった部分

①AF追従中に金網やフラッグが被ると、そちらにフォーカスがいってしまう。

→最初から金網越しの場合はあまり問題にはならない

②まれにAF追従中にフォーカスがあらぬところへ飛んでしまう。

③背面液晶→EVFへの切替時のタイムラグが0.5秒ほどあり、OVF使用者としては気になる。

④シャッターを切った際に、撮影画像確認を切にしていてもブラックアウトする時間がD800に比べて長い。

EVF切り替え用のセンサーが帽子のつばに反応してしまい、撮影画像を確認している最中にEVFに切り替わってしまう。

 

▼E-M1で良かった部分

①とにかく軽いので移動が楽。

②思っていたよりもAFがしっかり追従し、SUPERGTレベルでは問題なく使用できそう。

③手ぶれ補正が強力で、低速シャッターではD800より扱いやすい(ミラーショックがないことにも起因している?)。

 

▼D800で良かった部分

①3600万画素はトリミング耐性が素晴らしい。

②AFの食付きも素晴らしく、安心感がある。ここぞというところで失敗できないプロスポーツカメラマンがまだまだNikonCanonを使用する理由がここにある気がした。

③OVFでの連写時のブラックアウト時間が少ない。

 

カメラとしての性能はD800が上と思いますが、重い機材での移動は疲労がかなりありますし、一脚が必須になるなど物も増えます。ダイナミックレンジやコントラストの高い写真、夕暮れ時の高速シャッター時の高感度耐性、AFの食付きや安心感を求めるのであればD800ですが、結論としてはE-M1に切り替え40-150F2.8を導入してレース撮影に使用していこうかと思います。

 

以下に、各ポイントで撮影した画像と機材の印象をまとめてみます。

 

 

撮影画像(上:E-M1 下:D800)

E-M1は16:9、D800は4:3の画像になります。

▼メインストレート

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 FIA F4を撮影しました。最高で200km/hくらいのスピードのようです。気になった部分は、速度が速く向かってくる場合には、AFが追い付いていないためにピントが合っていない画像が5割程度あったことです。逆に画像のような離れていく場面では非常によく食いついておりました。

 

▼コカコーラコーナー

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ともにトリミングをしております。1コーナーから下ってスピードに乗っているところでの左コーナーです。ここに関してはどちらのカメラもしっかり合焦しており、使用に問題はありませんでした。

 

▼100R

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高速かつ金網があるという非常に厳しい状況でしたが、意外にもE-M1は健闘しております。トラッキングを強に設定していることが効いているのかもしれません。

 

▼アドバンコーナー

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非常に低速になるコーナーでは、どちらの機材も問題なく合焦します。ただし、ここで気になったのはダイナミックレンジで、影の部分の描写がE-M1は厳しくなっている印象です。また、コントラストもD800のほうがしっかりしており、実際に見た印象に近いです。

 

ダンロップコーナー

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こちらも低速になるコーナーをクリアしたところ。こちらも印象としてはアドバンコーナーでの撮影と同じようなところです。

 

ダンロップコーナー立ち上がり

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ここではSSを1/15、焦点距離を150mm(D800は155mm)にして撮影しています。このポイントに限って言えばE-M1のほうが好みの写真で、手ぶれ補正もしっかり効いておりブレは少なかった印象です。逆に合焦ではD800のほうがよく、このポイントに限って言えばD800が7割、E-M1が5割程度の印象です。

 

▼13コーナー

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13コーナーは上り勾配でクリッピングポイントが見えず、Rも厳しいため速度が落ちる場所でもあります。それでも最新のGT500はものすごいスピードで走っていきます。このポイントでもどちらの機種も全く問題はなく合焦してきます。E-M1はAFエリアの自由度が高いため、その点に関しては扱いやすいと感じました。

 

プリウスコーナー(進入)

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プリウスコーナーでも問題なく撮影出来ました。

 

プリウスコーナー(立ち上がり)〜パナソニックコーナー

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ここは金網越しの撮影となるポイントです。150mmでは金網を消しきれていませんでしたが、AFの合焦には問題はありませんでした。遠ざかる被写体もしっかりと追従しているようでした。

 

 今回のレースで撮影した画像はFlickrに。