中華(系オーディオ)、はじめました
オーディオ関係はXM4をもって沼も終わりだと思っていたのですが、また始まってしまいました。
0.長くなったので3行まとめ
- ストリーミングサービスでロスレス配信が始まったので、Bluetoothでロスレス~ハイレゾを簡単に聴けるシステム構築を目論むもAP80 Proは失敗しBTA30導入を検討中
- 中華DACは安価ながらかなり音が良い。iPad ProとUD-503を接続して簡単に良い音で聴けるようになった
- 中華イヤホンは安価で凄まじいスペック(音も価格以上か)。好みはあると思いますが買って試してみるのも一興
1.ストリーミングサービスでのロスレスオーディオ配信が開始
数ヶ月前にApple MusicやAmazon Musicでロスレスオーディオの配信が始まり、有料サービス利用者は追加料金なしで聴けるようになりました。
Apple Musicロスレス配信開始。ロスレスとは? iPhoneで聴く方法 - AV Watch
Amazon Music HD、日本でも追加料金なしで提供開始 - PHILE WEB
これが思ったよりもロスレスで配信されている楽曲が多く、CDからのリッピングしたデータをApple Losslessで管理していた身からすれば、非常に便利だなと思っていました。Apple Musicを使っているのですが、CD発売日の0時には聴けるようになるし、リッピング不要だし、ロスレスで聴けるとなれば、今や配信中心で使っています。
そしてCD音質(44.1kHz / 16bit)を超える配信も増えてきている印象で、手軽にロスレス~ハイレゾを再生できる環境があってもいいかも…?と思いいろいろ探し始めました。
ハイレゾとは、についてはこの記事がまとまっていて、画像だとこれがわかりやすかったです。個人的にはロスレス以上であればあまり拘る必要はないのかなと思ってはいます。
ストリーミングサービスによる音質の違いも評価されているのですが、そこまでの環境はないのでApple Musicのまま使っていく予定です。
2.iPad Proを母艦に現在のシステムに組み込まず、Bluetooth専用として独立させる
という構想でスタートしました。
現在のシステムは以下で、AI-301DA-SP(プリメイン)と、UD-503(ヘッドホンアンプ)です。いずれもハイレゾ認証を取得している製品になります。
- Macbook Pro → AI-301DA-SP(USB)→ スピーカー
- iPhone 12 Pro → AI-301DA-SP(Bluetooth)→ スピーカー
- Macbook Pro → UD-503(USB)→ ヘッドホン
これらとは別に、XM4をメインにするシステムを組んでいくことにしました。
3.iPad ProからのLDAC送信ができないか
iPad Proを母艦にするということで、とにかくコンパクトで手軽なシステムを目指しました。プリメイン→スピーカーへはBluetoothで接続できるので、iPad ProからXM4になるべく情報量の多いデータが送れるLDACで接続できるシステムを考えました*1。
AACやLDACなど、Bluetoothのコーデックについてはこちらにまとまっています。LDACはソニーが開発したコーデックで、ハイレゾとされる96kHz / 24bitをBluetoothで送信ができるものです。
探してみるとLDACに対応しているトランスミッターがほとんどなく、対応しているFiioのBTA30は国内在庫がなくいきなり万事休すかと思ったのですが、以下の製品を見つけました。
こちら中国のメーカーのようで、M0がコンパクトなDAPとして話題になったのを覚えていたのがきっかけで調べ、Q1を見つけました。この製品であればLDACも送信ができるので、iPad Pro → Q1 → XM4で完結するシステムになりそう。
と思ったのですがもう少し調べていくと、DACチップをデュアルで搭載しているものも発見。
AP80 Pro Portable Lossless Music Player | Hidizs
こちらは香港のメーカーのようで、Q1同様LDACの送信にも対応しています。価格差もQ1と比べて大きくないので、こちらの製品にしました。
DACチップについてはDACのすべてを決めるわけではないですが、重要な部品になるので、上記製品もそうですが製品ページには「どのメーカーのこのチップを使っています」ということが記載されているケースが多いです。
このあたり最近の事情がよくわからなかったのでこちらのページを参考にさせていただきました。現在のシステムは、プリメインではPCM1795、ヘッドホンアンプではAK4490×2が採用されています。後々知るのですが旭化成の火災がオーディオ製品へかなり影響していることを痛感しました。
4.AP80 Proは失敗。他の活用方法を検討中
この通りなのですが、USB-DAC&Bluetoothトランスミッター(LDAC送信)として使用する場合とにかくiOS / iPad OSとの相性が悪いです。自分の使いたかった用途ドンピシャでの不具合でした。
BluetoothレシーバーとしてiPhoneとAACで接続する場合は何ら問題なく使用できています。
AP80 Proの現在の最新ファームであるV1.5を使用しても以下が発生することを確認しています。サポートにも連絡をしましたがAndroidでは発生していないようで、手持ちのHuawei MediaPad M5でも以下の不具合が出ないことを確認しています。iPhone / iPadでの使用については今後のファームアップに期待です。
- 不具合①:iPad ProとUSB-OTGケーブル経由で接続すると、次の曲の再生が始まる際に冒頭が数秒聞こえない(突然曲が始まるような感じになる)場合がある。自然に次の曲の再生が始まる・曲送りした場合いずれでも発生。不定期。XM4とAP80 ProをAAC接続した場合は発生しない。→ iOS / iPad OS15でも解決せず。
- 不具合②:iPhoneと接続しても上記症状が発生する。加えてサンプリングレートの異なる曲を再生すると再生速度がおかしくなる(44.1kHzの後に48kHzの曲が流れると早回しされているような感じになる)。有線イヤホンでは発生せず。 → サンプリングレートの問題はiOS14.8で出ていたのですが、iOS15にアップデート後発生しなくなりました。
(AP80 ProとiPhone 12 Proとのサイズ比較)
AP80 Pro自体から出る音はBluetooth(LDAC)でも有線でも良いことを確認できているので、なんとか使える道がないか検討しています。今の所出先やキャンプで以下構成で使うのはどうかと思っています。この組み合わせでは上記のような不具合は出ないことを確認しています*2。
- iPhone 12 Pro → Lightning/USB変換アダプタ → セルフパワーUSBハブ → USB-A/USB-Cケーブル → AP80 Pro → 有線イヤホン
これも余談ですが、iPhoneとAP80 Proの接続はかなり苦戦しました。
最初はこのLightning OTGケーブルを使って接続できると簡単に考えていたのですが、消費電力が大きすぎるということでiPhone側が受け付けてくれません。カメラアダプタを使用しても消費電力の上限はかなり少ない様子で、こちらのページで詳しく紹介されています。セルフパワーのUSBハブをかませることで安定した動作が期待できそうということで、先のような構成になっています。USBハブは出先で使用することを考え、USBで給電できるタイプにしました。
5.iPad Proで使える据え置きDACを検討する
AP80 Proが失敗に終わったので、なんとかBTA30の入手を試みています。入手でき次第システムに組み込めるよう、DACを準備することにしました*3。
DAC専用機はPS AUDIOのDigital Link IIIを手放して以来持っていなかったのですが、調べてみると見慣れないメーカーの製品が結構目に付きました。
【価格.com】ヘッドホンアンプ・DAC | 通販・価格比較・製品情報
Amazonはもっと聞いたことがないメーカーだらけです。
Amazonの方は特に中華系メーカーが検索結果上位に来ているようで、これは他の商品にも通ずることかと思いスルーしかけたのですが、Googleでも調べてみるとそこそこ評価がよさそうな感じです。
6.TOPPING D10sを購入
TOPPINGは中国のメーカーで、DACを始め一通りのホームオーディオ機器をやっているようです。
D10sを選んだのは以下の理由です。UD-503がなければ、DX7あたりも良さそうでした。
現在はオペアンプもOPA627AUに変更しました。取説的なものも入っていたので特に問題はないと思われますが、こちらのページにも写真付きで載っています(D10ですが向きは同じ)。オペアンプそのものについてはこちらのページも面白く読ませていただきました。
オペアンプ交換後に無音時ノイズが乗るようになってしまい、いろいろ確認した結果iPad Pro側の電源でした。USB-C給電ですが、USB-Cポートが2系統あるコンセントから給電をやめ1系統に変えたところノイズは収まりました。
ES9038Q2Mの音についてはAK4470よりも見通しがよく、クリアな印象を受けました。AK4470のほうが密度が高くウォームな感じ、ES9038Q2Mはドライな感じでしょうか。情報量はそこまで大きな差はないと感じます。曲としてのまとまりはAK4470が好きですが、音を聴くという意味ではES9038Q2Mも捨てがたいところ。曲や気分で使い分けができるので、良い買い物だったと思います。
(D10sとiPhone 12 Proとのサイズ比較)
7.中華イヤホンを試す
D10sを導入したことでUD-503の使用頻度が格段に上がりました。そんなわけでT1 *6やW5000の使用頻度が上がっているのですが、W60も手軽に聴くには良い選択肢なのでこちらも頻度が上がっています。
DACでは中華系メーカーが当たりだったのでイヤホンはどうか?と思いこちらも調べてみるとたくさん出てきます。その中でも一番有名どころっぽいKZから、ZAXを選んでみました。W60が片側6BA機なのでそれを上回る7BA+1DD(ダイナミックドライバー)がどんな音なのか、価格もそこまで高くないので試しに購入してみました。
レビューを読んでいると銀線が合いそうな雰囲気だったので、リケーブル用のケーブルも合わせて注文しました。イヤホン本体と合わせて1万くらいなのので、W60よりも圧倒的に安く収まりました。
あとはリケーブル用のケーブルがAmazonで簡単に買えるようになっていたのも驚きました。10Proをあれこれしていた時代は海外から輸入するか自作するかしかなかった記憶です…。
(真ん中がZAX、左がW60、右がXM4)
ZAXは7BA+1DDということですが、XM4と比べてもイヤホン本体はそこまで大きくありません。形は少し変則的ですが、装着感は良いです。価格の割に加工も問題なく、バリがあるとか接着がおかしいということもありませんでした。
(ZAXとXM4のサイズ比較。7BA+1DDとTWSでは後者が少し大きい。ZAXはハウジングにメッシュ機構があり結構音漏れします)
ZAXの音は微ドンシャリのバキバキの高解像度という印象です。とにかく今まで聴いたことがない音づくりで、完全に新体験です。7BAの恩恵か音の描き分けは凄まじいものがあります。空間は横に広い割に近く、音の輪郭も非常にはっきりしています。きらびやかな表現が得意で、俗に言う美音系でしょうか。
良くない点としては、あまりに音が明瞭かつ近いので長時間聴くのは疲れてしまうかもしれません。また性能を発揮するにはそれなりの環境で鳴らさないとダメそうです*7。写真の通りハウジングメッシュ機構により音漏れが大きく、遮音性は低いので電車で使うのはオススメできません。
とはいえこれがリケーブル含め1万円というのは、凄まじいコストパフォーマンスです。W60とは完全に棲み分けができるキャラクターです。
環境:
こんな感じで、久々に単体DACや有線イヤホンにも触れてみましたが低価格帯の性能向上が凄まじかったです。
先のDX7や他の有線イヤホン、DAPで気になっているものがいくつかあり、そのうち試していければと思っています。
*1:スピーカーはそこまで音質にこだわらないので、AACでの接続でOKと考えています。よほどきちんとした鳴らせる環境があれば別なのですが
*2:iOS 15で確認。MFi認証製品でないものが含まれるので、動作を保証するものではありません
*3:UD-503はLINE OUTがあるのでDACとしても使えるのですが、USB端子が埋まっていること、D/Dで光デジタルに変換してもよかったのですが、最新のチップ性能を体験してみたく、単体DACを用意することに
*4:ES9038Q2MについてはES9038Proの一部機能制限版?のような感じらしいです。ES9038Proは他社でも採用例があるので、問題なさそうです
*5:メーカー的には推奨はしてないそうです
*6:初代のページが見つからなかったので現行機種のリンクです